Laura Vaccaro Seeger 作・画
アメリカ人のローラ・ヴァッカロ・シーガーによる、「鶏が先か、卵が先か」の命題に取り組んだ作品です。まず初めのページに卵が現れます。それは卵の形に切り抜いて表現してあります。ページをめくると卵の形の切り抜きはヒヨコになり、鶏が現れます。同様に切り抜きを生かしてオタマジャクシがカエルに、種は花に、嬉しい成長を遂げていきます。
ただの切り抜き絵本ではありません。一見何気ない切り抜きですが、実は巧妙に計算されていて感心します。生き生きとして可愛らしく品のあるアクリル画の技量にも学ばされます。そして、添えられた少しの言葉も効果的でウィットに富んだ展開をしていきますので、ぜひ原書の味わいを。切り抜き効果と上品な絵、言葉のウィットが奏で合う、大人をうならせる美しい絵本だと思います。当たり前の些細なものごとを純粋に見つめると、そこにも奥深く広がる世界があることに気付かせてくれます。
アメリカでは数々の受賞歴があり推薦されています。上の表紙画像のシールは、コールデコット賞、ドクター・スース賞のメダルシール。
日本語版はこちら。
「はじめはタマゴ」評論社
ローラ・ヴァッカロ・シーガー 作・画、久山太市 訳
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