人間の心の深層を皮肉たっぷりに描いた物語の中で、奔放なピノキオは少しづつ大人になり、大切なものを見極めていく。
「ピノキオの冒険」
カルロ・コルローディ 作、R・インノチェンティ 絵
金原瑞人 訳、西村書店
ピノキオを読むならカルロ・コルローディ原作「ピノキオの冒険」の完訳版に決まりです!細やかで美しい挿絵は、ピノキオと同じフィレンツェ出身の画家によるものだそうです。黒い布貼りの表紙に箱入りという装丁で、イタリアの名作にふさわしいお姿です!日本語訳は歯切れがよく読みやすいです。
子供向けにアレンジした作品とは違い、原作であるこの内容には残酷なエピソードも多々あります。けれども話の展開が速い中でたくさんの笑いと教訓が繰り広げられ、飽きずに早く次々と読みたくなる面白い本です。ピノキオの話がこんなに教訓じみていて、暗いけれども面白くて、いろんな出来事が次々に起こって読むのが止まらなくなるなんて、原作を読むまで知りませんでした。長い文章ですので読み聞かせするには何日もかかりますが、次読んで!と何度もせがまれました。ただ、ピノキオが追いはぎに会ったり吊り下げられたりという場面は、幼い年頃にはトラウマになる怖さかも知れませんので、無理に読み聞かせず見極めが必要かと思います。また、長い話の中に登場する様々なキャラクターは、それぞれが後の話の中に再びあらわれ、たくさん展開する話を結び付けながら進んでいきます。私にとって中でも印象的だったのは、コオロギとカタツムリという名脇役でした。
読み終えたら映画「ピノッキオ」と見比べてみても面白いです。映画の方も、これまた話がコロコロと展開します。
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