海の上に浮かんだ飛行機の中に、
ボートをこいでやってきた猫たちが乗り込みます。
「ごろごろにゃーん、ごろごろにゃーん と、ひこうきはとんでいきます 」
「ごろごろ にゃーん」こどものとも傑作集
長新太 作・画、福音館書店
「ごろごろにゃーん・・・」の言葉が繰り返されて面白く、楽しいならそれでいいんだと思える絵本です。ページをめくっても同じ言葉が繰り返されますが、情景は変わっていきます。絵は、黒と緑がかった青、それから黄土色のような色を少し用い、ペン先の線だけで描かれています。青白い世界が次々に現れる「ごろごろにゃーん」の旅は、最後には「ただいまー。」と無事に終わるので、何度読み終えても安心した満足感があります。毎日が同じような事の繰り返しのように思えても、ささやかでも何かしらのドラマや冒険、驚きや喜びなどがいつもあること、そして無事に一日を終えることが大事ということ、「ごろごろにゃーん」の猫たちはそれらを知ってます。
幼少期に至近距離でまじまじと見ていた寒色系の線でびっしりと描き込まれた絵。これを何メートルか離れて見るととても美しいことに、大人になって気が付きました。声に出して読んで楽しい、眺めて楽しい、とっておきの不思議な魅力のロングセラー絵本です。
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