「アリババと40人の盗賊」

アリババは偶然に、盗賊が宝を隠している洞窟と、
洞窟を開閉する呪文を知り、こっそり入って金貨を持ち帰る。
やがてアリババの兄カシムもこれを知って洞窟へ行くが、
カシムは盗賊に見つかって殺され、
バラバラにされて洞窟の中に見せしめに置かれた。
アリババがバラバラにされたカシムを見つけて持ち帰ると、
家政婦のモルジアーナの知恵により、
カシムの体は傷一つなく縫い合わされ、
カシムは人に死に方を怪しまれることなく埋葬された。
一方、カシムの遺体がなくなったことに気づいた盗賊は、
洞窟の秘密を知る者を探してアリババの家を突き止め、
アリババの命を狙いにやって来る。 

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マーガレット・アーリー 文・絵、清水達也 訳 評論社

 恐ろしく無情な盗賊に、アリババの家政婦モルジアーナは知恵で挑みます。アリババの命を狙う盗賊のたくらみにモルジアーナは一つ一つ感付き、冷静に着実に反撃していくのです。盗賊は実に残酷なことをするのですが、モルジアーナも・・・つわものなのです。
 洞窟を開く呪文は「ひらけ、ゴマ!」です。よく知られた言葉なので、それは一体何の言葉なのか、子どもたちも知りたいのではなかと思います。この絵本では恐ろしいことも包み隠さず描き、困難に立ち向かっていくスリリングな展開を味わえます。千夜一夜物語の代表作の一つとして語り継がれる訳がよくわかります。残忍な場面は淡々と短く書かれているので、子供でもおびえすぎずに物語として客観視できるかと思います。
 舞台となるペルシアをイメージするのに、この絵本はたいへん助けになります。ふんだんに描かれたアラベスク模様などの雰囲気たっぷりの模様、美しい流れるような民族衣装の登場人物、重厚な建物など、繊細に描き込まれた絵により、異文化の景色をイメージしながら話を楽しめることと思います。
 読み聞かせには時間がかかりますが、いかがでしょうか。
 難しい漢字には振り仮名付きです。読み聞かせは小学生から、自分で読むならば3、4年生くらいから。

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